「岳」 石塚真一

読んでいたのは一昨年だが、感想を少し。
ボランティア山岳救助員、三歩のレスキュー話。登山の素晴らしさと遭難の悲惨さがよく描かれている。腐乱死体や、滑落でボロ雑巾になった死体などグロも満載。
一番面白かった話は、1巻の「イナズマ」。雷が近くに来たら本当に毛が逆立ち、ブブブブ・・と音がするのか!?
「遠くの声」もちょっとホロっとくるいい話。暖かい布団で寝られるだけで幸せとあったが、確かにその通り!私も遭難した時は、そればかり考えていた。
捜索が打ち切られ、雪解けの初夏に遭難した息子を探しに来た男、3巻の「父親」を読んだら、山では死ねないな・・と思う。
心に響く名言も多い。高所に登れない体になったスコットの「低い山も楽しかったな」や、三歩の「ここ(ベースキャンプ)から頂上までぜ~んぶエベレストじゃん」など、ピークハントだけが登山じゃないと気付かされた。
山にいる、ただそれだけで何て素晴らしいことなんだろうということを忘れていた。生きていることに感謝できる瞬間である。